管理番号: TYT-058
妖異通称: 占板/プランセット
危険レベル: レベル2
遭遇した場合は直ちに退避行動を取ります。物品や事象の場合、近づくことも避けるべきです。 警戒すべき対象です。なるべく早い段階でその場から退避する行動を取るべきです。
対応状況: 捜査中。
外観

TYT-058と同タイプ占い版
関連事件
● 無人部屋自動占い版事件
大正三年に発生した人のいない部屋で占い版が自動で動き出したとされる事件。
広域情報
● なし
ポイント
TYT-058は占い板(プランセット)と呼ばれる西洋の占いを行うためのアイテムです。現在では殆ど見られなくなりましたが、戦前までは大流行し、様々な人によって占いが行われました。形状はハート形の平板に三本の脚が掛けられており、その一つの脚に鉛筆や毛筆等が取り付けられています。これを1~3人が取り囲んで、板面に手の先を載せて沈黙した後、何事か質問をうと、板の脚が滑るようにして動きだします。こうして占い板が移動することで取り付けられた筆によって、板の下に敷かれた紙の上に、質問に関する何かしらの答えが記述されるという占いです。
『幽冥界研究資料』によると、占い板が世の中から興味が失われていったのは、そこで出てくる問いかけへの解凍が、往々にして馬鹿馬鹿しいものが多かったためであるとされています。全然動かなかったり、うまく書かれないからといって、参加者の一人がわざと自分の手で自分が思ったことを書こうとして失敗したり、また占い板に憑ってきた霊がいたずら者であったり、またはその力が弱いために十分に書くことができなかったりしたことも衰退の原因となったようです。
占う人間の霊媒力の強弱にも影響されると言われるプランセットですが、誰もいない部屋で一人でに動き出して絵を描いたとされているのがTYT-058です。現象が最初に確認されたのは大正三年のことで、現在の帝国妖異対策局の前身である心霊現象調査局に勤務していた中曾局員が対象を保有していました。当時、研究のためと称して中曾家に局員が集まっては、色々なことをプランセットを使って占っていたようです。
ある日の暮方、中曾家の人々が一か所に集まって夕餉をしていたところ、誰も居ない次の間にて、微かにカサカサ、コトリコトリと言う物の響がしているのが聞こえてきたので、中曾氏が箸をおいて確認しに向かったところ、紙片の上にプランセットが独りでにコツコツ何か描いている様子を確認しました。中曾氏は大変驚いたものの、そのまま静観していると、長さ三四寸の天使の姿を精密な筆法で描いていました。
またこのTYT-058は、当時の中曾家にいた十一歳になる息子と仲が良かったらしく、自ら息子の保護者を以て任じており、自分がいる限りは息子は安全だと書き綴ることもありました。ある日、その息子が学校からの帰りが遅かったので、母親が占い版に尋ねてみると、今頃は危ない場所で遊んでいるから、早く迎えに行って連れて帰れ、場所は裏町の明神にある瀧の上の崖際であると書いたこともあったそうです。実際に母親が迎えに行ってみると果たして、危ないところで遊んでいました。
十二月の或る日、表の通りで大勢の人の声がして、地付きをするような響きが次第々々に近づいてくるため、中曾家の人々が何事かと驚き、占い板に聞いてみたところ、臼のようなものの両端に縄が付いていて、大勢の子供がその縄を持ちながら、地面をついている様子を描きました。しばらくしてその実物が門前に来たのを見ると、占い板が描いた通りの様子でした。これは同地の古い慣習で陰暦の亥の子の日に行われる年中行事でしたが、中曾氏はそれまで全く知らなかったということでした。
また或る日の日曜日、局員十数名が中曾家に集ったとき、占い板が煎餅を奢るからということで、同家の下女に百五十枚買わせてきましたが、これを人々に分配する際、各人の俸給高に比例した割方をしました。この時、占い板を押していたのは同家の息子でしたが、その手が占い板が欲する人の前にずいっと進んで行って、目的の人への煎餅が押しやられていきました。その悉くが、俸給の列順に応じて一人も間違うことがありませんでした。もちろんこの息子は局員の俸給についてはまったく知識がありませんでした。また 最後に十枚ほど煎餅が残りましたが、これは買いに行った下女の前に押し遣られたということです。
現在、中曾家ではこの占い版を紛失してしまったとのことです。
対応詳細
捜索中です。
懸賞金
なし